オルフェの詩 第1回 作者・有吉玉青さん
名古屋をどり・夜の部の目玉である「オルフェの詩」について、作者、作曲者、ゲストの方々に、「オルフェの詩」に込める想いを語ってもらった。
私からお願いしました。
毎年、意表を衝く新作舞踊劇を発表している名古屋をどり公演。昨年の漂白の俳人・種田山頭火を題材にした「風の中ゆく」のおどりとせりふのセッションにも驚かされたが、今年は作家・有吉玉青さんが有名なギリシャ神話“オルフェ”を舞踊劇に書き下ろすとのこと。黄泉の国から妻を連れ戻す途中、「決して振り向かない」という約束を破り、妻を再び失ってしまった悲しい男の話はつとに有名だが、これを作家の有吉玉青さんが日本舞踊劇に仕立てるのは、ちょっと意外な気がしないでもない。
「“オルフェ”で書かせていただけませんでしょうかとお願いしたのは、実は私の方からなんです。2年程前に書き下ろしのお話をいただいて、勉強させていただくつもりでお引き受けをして、そこから何がいいかと考えた時に浮かんだのが、“オルフェ”でした。“オルフェ”は物を書く仕事に就くずっと以前から、いつかは自分の“オルフェ”を作ってみたいと思っていた憧れの作品で、あの振り返りたいけど、振り返れないというのが、日本舞踊にすると良いのではないかと思ったんです。それで家元にお願いをして、ご快諾をいただいたのですが、最初に思いついていたのはそれだけ(笑)。舞踊劇を書くのは初めてのことなので、いろいろと勉強をさせていただくつもりで取り組みました」
素敵な体験をさせていただきました!
ギリシャ神話の中でもとりわけ人間味溢れる“オルフェ”の話は、洋の東西を問わず、映画や舞台などで取り上げられているが、今回、名古屋をどりの「オルフェの詩」では元宝塚のトップスター・瀬戸内美八さんをゲストに迎え、踊りと歌を交えた“西川歌劇”に仕上がっている。
「自分が書いたものに音楽が付き、振りが付き、演出が付くとこうなるのかと、最初に拝見させていただいた時は、驚きと感動でいっぱいでした。今回、すべてが初めての経験で、いろいろと勉強させていただきました。でも、どちらかというと勉強というより、ワクワク体験をさせていただいたと言った方がいいかもしれませんね(笑)。憧れていた神話を元に作らせていただいて、本当にありがとうございます。幕が開くのが楽しみです」
有吉玉青
作家 1963年東京生まれ
早稲田大学文学部哲学科、東京大学文学部美学藝術学科卒。
ニューヨーク大学大学院演劇学科修了。
90年、母・佐和子との日々を綴った「身がわり」により坪田譲治文学賞を受賞。
著書に小説「キャベツの新生活」「車掌さんの恋」「月とシャンパン」、エッセイ「ニューヨーク空間」「お茶席の冒険」「雛を包む」など多数。
西川流では、母・有吉佐和子が舞踊劇を書き下ろしており、二代に渡る縁。
ギリシャ神話「オルフェ」とは。
竪琴の名人オルフェは美しい妻の死を諦めきれず、その後を追って黄泉の国へ。「妻を返して欲しい」と願って奏でる素晴らしい竪琴に感動した黄泉の国王の妻の説得もあり、国王は特別に「地上に戻るまで振り返ってはならぬ」という条件のもとに妻を連れ帰ることを許す。だが、心配と疑心からオルフェは帰り道の途中で振り返ってしまい、妻を永遠に失うことに。
その他の「オルフェ」作品
・ ヴェネチア国際映画祭においてジャン・コクトーが監督を務めた「オルフェ」(1950年)が国際評論家賞に。
・ オルフェの物語をリオデジャネイロを舞台に翻案したヴィニシウス・ヂ・モライスの戯曲は'56年に舞台初演。3年後に「黒いオルフェ」というフランス映画にもなり、カンヌ映画祭のパルムドールとアカデミー外国語映画賞を受賞。
→この「黒いオルフェ」は1999年、監督カルロス・ヂエギスが設定を現代に置き換えて映画化している。
・日本では宝塚歌劇団が1950年代のパリを舞台に置き換えて描いた作品「螺旋のオルフェ」として上演している。
・ オペラもあります。1609年、モンテヴェルディ作曲「オルフェーオ」、18世紀、グルックの作曲で「オルフェオとエウリディーチェ」。後者は、日本で初めて上演されたオペラ。


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